人物デッサンの基礎


まずデッサンには【ベース】というものがあります。
これは静物デッサンでも人物デッサンでも、あるいは風景デッサンでも同じです。
多少の違いはあるにせよ、同じ、と思って描いた方が迷わなくて済みます。

 12月の人物写生会は終わりましたが、ここではデッサンに取り組む際の注意点を書いてみたいと思います。

①静物デッサン(単体)におけるベースと仕上がり

ベースで何を描いているか分かるでしょうか?

薄目で見て、大雑把に調子を乗せている・・・・・。
それでも半分正解です。

しかし本質は【構造】を描いています。(このかぼちゃの場合は、球体としての形態感と、台との関係=空間感を描いています。)

【構造】なんて難しい言葉ですね。
言い換えれば【成り立ち】です。

では何の成り立ちか?

一に【形態の成り立ち】と
二に【空間の成り立ち】です。

美大受験などにおいても、特にデザイン科などでは口うるさく言われると思いますが、デッサンには【3つの感】があります。

すなわち
①形態感
②空間感
③材質感
です。

このうち、①と②をベースで達成するのです。

それから後半戦は③の材質感、つまり”表情”を追求して行きます。
表情から先に描くと失敗してしまうことが多いでしょう。
まずもって構図からして適正なものにならないからです。

では、人物における【ベース】の例を示してみましょう。
今回参加者に混じって2ポーズくらいで描いてみました。(F8サイズです。)

実際は2ポーズ描き終わったあと、後ろに下がってみて、左肩から腕にかけてが小さかったので、修正しています。
基本的に顔、首、肩、旨、腕、、などそれぞれの形態感と、つながりの自然さ、そして佇まいとしての空間感を表現しようとしています。
初学者が陥りやすいのは最初から決定的な線を引いてしまうこと。
輪郭線は徐々に決定して行きましょう。

ここでまた大事なことがあります。

それは【3つの線】です。

デッサンには3つの線があるのです。

たいてい絵画教室ではこれを最初に教えます。
(これを教えない教室、あるいは予備校はモグリと言えます。笑)

①中軸線
②稜線
③輪郭線

の3つです。

大事な順から① ② ③ です。

初学者は一生懸命、輪郭線の正確さを求めようとします。
石膏なら、それもアリかもしれません。
何故なら石膏は動かないからです。
しかし人物は固定ポーズでも動きます。
だんだん疲れてきて姿勢も悪くなって来ます。
服のシワも一々変化します。
なので、輪郭線の正確さは、あまり意味がありません。
それより大切なのは、一に二にも【中軸線】です。

中軸線、すなわち軸が大事です。
それは心眼で捉えるしかありません。
もちろん人物の場合、骨格が芯に相当する場合が多いですが、必ずしも骨が中軸と重ならない部位もあったりします。
さらに石膏の場合、人間を形どったものなので、中心軸は大いに感じられますが、石膏を割って、その中から芯=軸が物体として現れることはありません。 なにせ空洞なことが多いからです。

いずれにせよ、人物には中軸線が大事なので、それを心眼によって捉えるよう意識しましょう。
もっと言うと、静物でも同じです。
球体でも円柱でも立方体でも、全て基本に軸を意識すると良いでしょう。

ということで、上の人物ベースはこれ以上描かなかったので、昔私が描いた人物デッサンを数枚アップしておきます。

芯を意識して描いたつもりです。

 B3サイズ

 B3サイズ

 B3サイズ

12月28日(月)14:00から17:00まで。
教室で静物デッサンのデモンストレーションを行います。
田所が説明しながら描きます。
特に【ベース】を中心に説明します。
受験生は参考になるでしょう。
外部生は有料(2000円)となりますが、希望者はどうぞいらして下さい。