長らく美大入試指導をしていて、痛切に思うことがあります。
それは、当教室のような小規模な教室の場合、なかなか言葉では伝えきれないな、ということです。
例えば、「デザイン科のデッサンで最も基礎的に要求されるのは、【構造】ですよ。それは表面描写より大切なことで、モチーフの形態感=立体感と、モチーフ同士の空間感です。」と言っても、学生は「はぁ~~? わかんなーい!」となってしまいます。
それを図で説明してもなかなか伝わりません・・・。
学生のデッサンに手を入れても、全然伝わりません。
いつしか、私が最初から最後まで、デッサンを描いて見せることになりました。
そうすると、学生は無言ではありますが、次に描くデッサンのクオリティが二段階くらいアップします。 【やり方=描き方】のコツが分かるのですね。 内心、「ああ、こう描けばいんだぁ~♬ 私にもちょっと出来そうかも。。」となるようです。
私も昔、同じような経験をしました。
浪人時代、予備校の先生が「田所、クロッキーというのは、こういう風に描くんだよ!」と言って、20分のクロッキーをコンテで描いて下さったのです。 そこで私はクロッキーの何たるかを完全に会得したのでした。(クロッキーとはただ早く描くことではなかったのです!)
いずれにせよ、先生がお手本で、それも最初から最後まで描いて見せてくれることは、生徒の身体にスゥーッと入って来ます。もう理屈ではありません。 それも見ている生徒は2~4人までと、限定された方が効果が上がります。まずもって、10人とかになると、遠くて見えなくなったりします。多ければ多いほど集中力も途切れます・・・。
いつしか私は学生に対して、デッサンや油彩のデモンストレーションを行うようになりました。それが一番伝わりますね。
ただ、私が最も注意しているは、いちいち説明しながら描く、ということです。
いつも口酸っぱく言っていることを実演して見せるのです。
基礎の基礎ですね。
私も最も得意としているスキルが、デモンストレーションになります。
そこで考えました。
何も教室だけでやらないでも、外に出張してデモンストレーションやってもいいな、、と。
世の中、美大合格レヴェルのデッサンのプロセスを実見してみたい学生さんや親御さんもいるでしょう。 美大受験しなくても、プロが描くデッサンを映像ではなく、実際に見て、説明もされる、というのは貴重な経験になるのではなかろうかと・・・。
そうした【需要】にお応えするために、【先生がお家にやって来る!】という特別講座を開設することにしました。
基本は、私立美大の合格レベルを見ていただこうという主旨ですが、【手のデッサン】【人物デッサン】さらに、【静物油彩Ⅰ=固有色で描く】【静物油彩Ⅱ=色相変換で描く】と、ご要望にお応えします。
このブログをご覧になった方で、デモンストレーションを見てみたい、という方や、そういう希望を持ってらっしゃる方がいれば、是非とも紹介いただきたく思います。
詳細はHP上に記載してあります。
【実施中】静物デッサン実演訪問
という所を押していただけると、そのページに飛びます。
何卒よろしくお願い致します。
ここでは、ごくごく簡単な進行をアップします。
あえて難しいモチーフにトライしてみました。
まずは構図・形取りです。ここで失敗しないことです。画面いっぱいを使い、すこし切るくらいで丁度よいでしょう。
これがいわゆるベースの仕事です。
形態感と空間感の仕事をします。
台の調子も入れて全体感も把握します。
とてもとても大事なプロセス。 初心者にはまず出来ません。
私の場合、ベースの仕事を二段階にして、かなり描き込みますが、これはもう後半戦に移っています。一番良くないところは、右側のテニスボールが手前のガラス瓶より前に出て来てしまっているところです。もちろん細部のツメもまだまだです。
最終的には、3時間でこんなものです。
ボールの位置を定位させ、櫛も描き込み、ガラス瓶の立体感も強調しています。
手前の物ほど立体的に見えるので、そう描くのです。
ダクトは色数が豊富になるよう心がけます。見せ場になる美味しいモチーフ。
でも、単調に描くと減点になってしまいます。
そのあたりの【塩梅】がとても重要になって来ます。
本当にいちいち細かく説明しながら描きます。
とても勉強になると思います。
私が出張します。
大げさに言えば、関東圏ならどこでもOKです。
デッサン用具と簡易イーゼルとモチーフを担いで、どこでもお邪魔します!
一回こっきりの【見世物】ですね。
私が受験生だったら、身銭切って依頼するサービスだと思うのです。
特にこのブログを初めてご覧になった方へ。
どうそ前向きにご検討下さい☆
(ご連絡はHP最下段ー【お問い合わせ】から、お願い致します。)